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2017年に読んで良かったサイエンス関連の本14選

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2017年も本を100冊近く読んだ。

僕の専門ということもあり、趣味としてサイエンス本を専門書含め読んできたので、今回はその中でも比較的一般の人にも読みやすい本を紹介しようと思う(それでもある程度知識がないと理解が難しい本が多いが)。

 

2017年に読んだサイエンスの良書

タンパク質の一生
タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)

タンパク質の一生―生命活動の舞台裏 (岩波新書)

 

すべての人間に捧げたい良書。

少々専門知識が必要だが、タンパク質が体の中でどの様につくられ、どう機能しているのかが明瞭に綴られており、読後の納得感がやばかった。

自分の体を構成するタンパク質について学ぶことは、もはや全人類にとっての義務だと思う。

 

細胞の中の分子生物学
細胞の中の分子生物学 最新・生命科学入門 (ブルーバックス)

細胞の中の分子生物学 最新・生命科学入門 (ブルーバックス)

 

ブレイクスルー賞を受賞した京大の森先生の分子生物学の本。

分子生物学の基本的な点についてもわかりやすく書かれているので、少々知識のある人ならスムーズに読むことができる。

そして何より本の後半では、森先生の専門分野である小胞体ストレス応答について要点を絞って書かれている。小胞体ストレス応答に関するわかりやすい本が少ない中で、非常にありがたい本である。

 

新しい発生生物学
新しい発生生物学―生命の神秘が集約された「発生」の驚異 (ブルーバックス)

新しい発生生物学―生命の神秘が集約された「発生」の驚異 (ブルーバックス)

 

発生生物学に関するわかりやすい本はなかなかない。

そんな中でこの本は、発生生物学に関する最低限の知識をわかりやすく学ぶことができる希少価値の高い本だ。

特に分化のメカニズムについて、詳しく明快に書かれているので、生命科学を学ぶ人は必見だと思う。

本来なら専門書を読んだほうが良いのだが、発生生物学への興味を短時間で深めたいという人におすすめ。

 

新しい免疫入門
新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで (ブルーバックス)

新しい免疫入門 自然免疫から自然炎症まで (ブルーバックス)

 

免疫学の世界的権威、阪大の審良先生が書かれた本。

過去の偉大な研究成果から最近の成果までが網羅されており、免疫学のパイオニアの一人として、常に最前線を走っている審良先生だからこそ書くことのできる内容だ。

自然免疫について詳しく書かれている。

専門用語も多く複雑な免疫機構についてシンプルにまとめられているので、免疫学を学ぶための最初の一冊としても非常におすすめである。

 

現代免疫物語 
現代免疫物語―花粉症や移植が教える生命の不思議 (ブルーバックス)

現代免疫物語―花粉症や移植が教える生命の不思議 (ブルーバックス)

 

審良先生の師匠でもある岸本先生が書かれた本。

専門的なメカニズムについてはそこまで多くなく、免疫学の歴史的な観点からひとつのストーリー的な内容になっている。

普通に読み物として面白いのでおすすめ。続編も既に購入しているが時間がなくて読めていないので、読み終わったらレビューしたいと思う。

 

エピジェネティクス
エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)

エピジェネティクス――新しい生命像をえがく (岩波新書)

 

阪大仲野先生の本。

エピジェネティクスに関するわかりやすく詳しい本はあまりないのだが、この本は一冊まるまるエピジェネティクスについてコンテンツ盛り沢山で書かれている。

そもそもエピジェネティクスについては未解明なことも多いのだが、メカニズムについては読者に納得の行く形で説明がされているのでおすすめである。

生命科学の基本知識がないと少々理解が難しい本だと思う。

 

CRISPR - 究極の遺伝子編集技術の発見
CRISPR (クリスパー)  究極の遺伝子編集技術の発見

CRISPR (クリスパー) 究極の遺伝子編集技術の発見

  • 作者: ジェニファー・ダウドナ,サミュエル・スターンバーグ,櫻井祐子
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2017/10/04
  • メディア: 単行本
  • この商品を含むブログを見る
 

今年はゲノム編集に関する本を多く読んだ。

超未来的技術のCrispr Cas9の発見者、ダウドナ博士の書いた半自伝的な本である。

Crispr発見の歴史的なエピソードが多く、メカニズムについては詳しく触れられていないが、ゲノム編集の概念から展望、社会実装するための課題などが非常に明快に書かれており、現在の生命科学技術の社会的ポジションを再認識することができる。

 

ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー 
ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー

ゲノム編集の衝撃 「神の領域」に迫るテクノロジー

 

ゲノム編集の概念をわかりやすく学ぶことができる本。

現在の社会的課題となっている難病治療に対してゲノム編集がどれほど影響力をもたらすのか、具体的な例を挙げて説明されているので、専門的な知識がなくとも理解しやすい。

ゲノム編集の入門書に最適な本だと思う。

 

ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃
ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書)

ゲノム編集とは何か 「DNAのメス」クリスパーの衝撃 (講談社現代新書)

 

ゲノム編集系の本ではこの本が一番良かったかもしれない。

転写、翻訳といったタンパク質合成の基本に関する説明から、現在のゲノム編集研究の社会的課題、ITと組み合わせたときにどのような社会的変化を引き起こすポテンシャルを秘めているのかが極めて未来的な視点で説明されている本なので、生命科学に関する専門知識をある程度持っている人でも視野が広がるような本である。

非常におすすめ。

 

ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか
ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか? 生命科学のテクノロジーによって生まれうる未来

ゲノム解析は「私」の世界をどう変えるのか? 生命科学のテクノロジーによって生まれうる未来

 

ジーンクエストの高橋祥子さんが、科学ベンチャーの経営者的視点と研究者的視点の両軸でゲノム編集について語る本。

研究現場と一般社会でいかにテクノロジーに関する認識のギャップがあるのか、それを埋めることの社会的価値がいかに高いのかをわかりやすく学ぶことができる。

生命科学について全く知識のない人におすすめ。

 

山中先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた 
山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫)

山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた (講談社+α文庫)

 

iPS細胞の権威、山中先生の半自伝。

研究者としてのプロ意識と、過去の興味深いエピソード、再生医療の社会価値についてまるっと学ぶことができ、読み物として純粋に面白い。

研究者にもそうでない人にもおすすめできる。 

 

大栗先生の超弦理論入門 
大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

大栗先生の超弦理論入門 (ブルーバックス)

 

CalTechの天才、大栗先生の超弦理論の本。

複雑な数式なしで、ひも理論の概念を非常にわかりやすくまとめられている。その言語化能力は流石としか言いようがない。

超弦理論に関する本は何冊か読んだが、難しすぎず易しすぎずのバランスが一番取れているのがこの本なのでおすすめ。

 

睡眠の科学
睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか (ブルーバックス)

睡眠の科学・改訂新版 なぜ眠るのか なぜ目覚めるのか (ブルーバックス)

 

寝ることが好きすぎるので読んでみた本。

睡眠をする理由とは何か、どのようなメカニズムで眠りに落ちるのか、考えてみればなぜだろうと思うことに関しての答えが書かれている。

人生の3分の1の時間を費やしている睡眠に関しての知識をみんな学ぼう。

 

真理の探究
真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話 (幻冬舎新書)

真理の探究 仏教と宇宙物理学の対話 (幻冬舎新書)

 

物理学者の大栗先生と、仏教学者の佐々木先生の対談形式の本。

物理と仏教という、一見似ても似つかない概念の間における、共通点や違いについて次から次へと議論が膨らみ非常にワクワクする。

内容はもはや哲学なので、時間をかけて思考しながら読んでほしい。

 

まとめ

サイエンスを学べばもっと豊かな未来を想像できるようになるので、みんなもっと科学に触れよう。