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【書評】「日本再興戦略」(落合陽一)のレビュー

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

落合陽一流日本再興戦略は現代人なら要チェック。

評価:★★★★★(5/5)

 

学びと感想

相変わらずおもしろいパラダイムを次々と提供してくれる、今一番注目している人が落合陽一先生。

基本的にNewspicksのWeekly Ochiaiの内容をブラッシュアップした内容になっている(流石に食欲の秋については一切出てこないが)。

人間が存在する価値はリスクを取れるかどうかという考えには心の底から納得した。統計的にしか解を導き出せない機械と差別化できるポイントはリスクを取って新たな価値提供ができるかどうか。面白いことができるかどうかだと再認識した。昔も今も未来も、マーケティングっていうのはそういうことなのかなと思う。

また東洋思想について学ぶ機会を儲けようと思った。西洋のイノベーターにはないひらめきをしようと思ったら、西洋人にはない思想を学ぶことが必要だ。

あらゆることにトキメキながら、あらゆるものに絶望して期待せずに自分の価値を見出しながら生きていきたい。

 

引用

p.22
変わり続けることを変えず、作り続けることをやめない

 

p.22
指数関数的成長にとって、全ての点は、いつでも始まったばかりだ

 

p.30
「欧米」とはユートピア(どこにもない場所)であり、日本人の心の中にしかないものです。

 

p.36
こらからの本質的な問題は、「我々はコミュニティをどう変えたら、次の産業革命を乗り越えられるか」ということなのに、「どの職業が食いっぱぐれるのか」という議論ばかりをしているのです。

 

p.46
我々は東洋人なのにもかかわらず、あまりに東洋のことを軽視しすぎです。バックグラウンドにある東洋思想を学ぶべきなのです。

 

p.57
日本のように、フランス並みの歴史があって、中国並みの生産設備を持っていて、アメリカ並みの金融市場がある国というのはまだチャンスがあるのです。その良さを踏まえた上で、今、我々の足かせとなっている、近代的なものの考え方や、伝統的特性、今足りないものの入手など、更新をしていくべきなのです。

 

p.88
長期戦として文化を育むことが大切ですが、今、まず必要なのは、社会に富を生み出したかどうか、ちゃんと考えることです。社会にどう貢献しているのかを考えるということです。
その視点でいくと、きれいに士農工商の順に富を生み出しています。クリエイティブクラスは確実に富を生み出していますし、農育む確実にモノをつくっていますし、工もモノをつくっています。しかし、商はモノをつくっていません。

 

p.109
しかし、技術を発展させるのではなく、そうした近代的教育を施し、人の側を均すことによって、人は会話のプロトコルや行動のプロトコルをそろえることができ、結果として、大きくGDPが上がりました。全体で見れば生産性が高い社会になったのです。近代の定義する標準的な「人間」が人権や人格や個人などさまざまな概念とともに生まれたのです。
この「人間」の誕生による生産性が高い社会は、たとえば、角砂糖の角をそろえたような人を許容しますが、そこからはみ出した人を許容しません。

 

p.127
今は、都心の土地が高いので、所得が低い人に限って遠くに住まないといけませんが、往復3時間ぐらいかけて会社に通うのは、時間の浪費になる場合が多いです。5Gが普及して、自動運転も広がったら、通勤地獄はある程度緩和されるはずです。

 

p.138
今、障害と言われているものは、単なるダイバーシティのひとつになる。障碍者も、介護者が必要な高齢の方も、「体のダイバーシティが高い人」という位置づけになるのです。

 

p.176
もし我々が、受益者負担のオープンなブロックチェーンベースのサービスを提供できれば、アップルやグーグルやアマゾンにお金を抜かれなくても済みます。AirbnbやUberといったグローバルなシェアリングサービスも必要なくなります。ビットコインが中央銀行という仲介者を不要にしたように、シリコンバレーのプラットフォームを不要にするのです。日本発の日本で自己完結するプラットフォームをつくれるようになるのです。
さらに、日本国内でも各ローカルの事情に合ったプラットフォームをつくりやすくなります。沖縄トークンのようなローカルごとの仮想通貨が生まれたり、沖縄トークンを使って起業する沖縄のすごい起業家が生まれてきたりすれば、シリコンバレーのプラットフォームにもドルにも円にも依存しない、新たなローカル経済圏を生むことができます。こうしてシリコンバレー発プラットフォーム社会を超えていかない限り、我々は、永遠に裕福になれません。だからこそ、日本はトークンエコノミー化を今すぐに進めていくべきなのです。

 

p.191
外交面では、中国と対立しないのが重要なことなのですが、15年ぐらいの時間軸で見ると、中国はさまざまな面で大変なことになるだろうとは思います。
最大のリスクファクターはやはり人口です。一人っ子政策でのつけで急速な少子高齢化が進みます。人口バランスが一気に崩れるのです。習近平政権の時代はまだ安定しているかもしれませんが、習近平以後は、本当に何が起きるのかわかりません。
僕が危惧するのは、「天安門事件3」のような出来事です。1989年の天安門事件は衝撃的でしたが、あれと同じようなことが起こりえます。もし天安門事件3が起きたら、紅いシリコンバレーとして栄えている深センや香港といった地域は緊張が起こるのではないでしょうか。その意味でも中国は本当にヤバいです。

 

p.198
リーダー2.0時代のリーダーは、すべて自分でできなくてもまったく構いません。何かひとつ、ものすごくとがってきる能力があればよくて、足りない能力は参謀など他の人に補ってもらえばいいのです。

 

p.205
つまり、これからの時代は、複数の職業を持った上で、どの職業をコストセンター(コストがかさむ部門)とするか、どの職業をプロフィットセンター(利益を多く生む部門)とするかをマネジメントしないといけません。

 

p.206
トップ研究者になるためには、時代感覚をつかむことが大事なのですが、日本人はこれがすごく苦手です。時代感覚をつかむ能力は、実は投資能力と近い。だからこそ、ポートフォリオマネジメントの能力に加えて、金融的投資能力が求められるのです。
金融的投資能力とは、「何に張るべきか」を予測する能力です。

 

p.207
タコつぼにならないようにするためのコツは明確です。横に展開していけばいいのです。
ひとつの専門性でトップレベルに上り詰めれば、他の分野のトップ人材にも会えるようになります。

 

p.214
研究においては、コンテクストを理解していくことが大切です。コンテクストとは何かというと、たとえばリサーチであれば、「Aさんはここまでやった。Bさんはここまでやった。ただ、2人のリサーチを並べてみると、ぽっこり穴が空いているところがあるので、ここの知識を埋めることができると価値がある」というスタンスを立てて、実験を繰り返して解明していくことです。

 

p.226
こうした会社のシステムは、「採用した人材を流出させない」という点は正解なのですが、「イノベーションを起こす」ことには向いていません。本当は、いろんな人材が会社に入ってきたほうが、イノベーションが生まれやすいのですが、日本の企業では人材が滞留してしまいます。

 

p.228
これからの時代は、囲い込みという概念は無駄です。それよりも、人を流出しやすくして、新しいコラボレーションが生まれやすくしたほうが、イノベーションが生まれて、日本のGDPが上がることにつながるのです。

 

p.241
つまり、我々が持っている人間性のうちで、デジタルヒューマンに必要なものは、「今、即時的に必要なものをちゃんとリスクを取ってやれるかどうか」です。リスクをあえて取る方針というものは、統計的な機械にはなかなか取りにくい判断です。ここをやるために人間がいるのです。

 

p.244
最近、僕は「人類のよさは、モチベーションだ」とよく言っています。リスクを取るほどモチベーションが上がるというのは、機械にはない人間のよさなのです。
機械は正規分布の中にしか吸収されないので、リスクを取るほどモチベーションが上がる状態というのは、統計の中では出てきません。この「リスクを取る」ということが機械はすごく苦手ですから、人間はそこを強くしないといけません。
革命というのはモチベーションの塊です。統計の中からはなかなか出てこない結論です。ただ、モチベーションは、文化資本の再分配関係にものすごく依存しています。モチベーションを生むコンテクストは、文化から生まれます。

 

p.246
「手を動かせ。モノを作れ。批評家になるな。ポジションを取った後に批評しろ。」

悩んでばかりでは意味がない。とにかくまずやってみる。その繰り返しの末にオリジナリティが生まれ、世の中を変えることができる。

 

p.253
「ポジションを取れ。批評家になるな。フェアに向き合え。手を動かせ。金を稼げ。画一的な基準を持つな。複雑なものや時間をかけないと成し得ないことに自分なりの価値を見出して愛でろ。あらゆることにトキメキながら、あらゆるものに絶望して期待せずに生きろ。明日と明後日で考える基準を変え続けろ。」

 

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

日本再興戦略 (NewsPicks Book)

 
日本再興戦略 (NewsPicks Book)

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